『HIGH(er)magazine』編集長・haru.がエッセイ執筆の想いを語る
“ホットカルチャーハブ”として様々なカルチャーメディア・カルチャーパーソンが集まるWEBメディア「three」から初のプロダクトが登場。
IT、広告、出版…様々な業界のカルチャーパーソンが集まり作ったのは“読むチョコレート”『Chocolate Library』。日本を代表する農園の果実×チョコレート×ショートエッセイという異色の掛け合わせで心の頬が落ちる時間を提供する新感覚スイーツだ。
そして今回、シリーズ第1弾となるチョコレートに添えるショートエッセイを執筆したのが、東京藝術大学出身で雑誌『HIGH(er)magazine』編集長、アーティストマネジメント会社・HUG代表のharu.さん。美しいルックス、自然体なスタンス、発信するメッセージの鋭さから、新世代のカルチャーシーンを担う注目人物として各業界から熱い視線が集まっている。
彼女はなぜ、今回のプロジェクトに参加したのか。エッセイ執筆の想いとは? そしてこれから彼女は世の中に対し、何を仕掛けていくのか。チョコレートを食べながら、素直な言葉で語られた。
Photo : Takashi Minekura
Edit : Takeshi Koh
haru.
1995年生まれ。小学校時代からドイツと日本を行き来しながら、2015年に東京藝術大学入学。同年に創刊したインディペンデント雑誌『HIGH(er)magazine』が大きな話題となり、様々な企業を巻き込みながら成長。2019年に同大学を卒業し、6月に同世代アーティストのマネジメントを行う株式会社HUGを設立。自身もアーティスト・モデルとして活動し、CMや雑誌で活躍中
『Chocolate Library』はクリエイターが集まってつくる“読むチョコレート”。このプロジェクトにエッセイ提供という形で参加した理由は?
私は普段から「物質で誰かに何かを届ける」ということに強い価値を感じています。大学時代から創り続けている『HIGH(er)magazine』も限られた部数の発刊なので例えば最新号の5月号は1200人にしか渡せないけれど、私たちのメッセージを紙に乗せて届けていることが重要。所持することで、メッセージをより大切に思えたり、その物に守られるというような体験があると思っています。今回はチョコレートに乗せて、農家さんの想いや私のメッセージを届けることができるという点に魅力を感じました。
プロジェクトメンバーも私にとって新鮮でした。“視覚でも読める点字”を発明したデザイナーの高橋鴻介さんや、様々な媒体で編集長をしながら今回は“チョコレートの編集長”として参加している黄孟志さん、今回の企画をプロデュースしている木本考紀さん。普段私が関わっているアーティストやクリエイターとは違う世代、違う業界で活躍している方々とコラボレーションするとどんなものが生まれるのか、楽しみに思いました。
文庫本の1ページに相当する約600字のショートエッセイ。一般的にチョコレートから想像する甘く優雅なイメージと異なる、意外性のあるものでした。どのような想いで執筆を?
インスピレーションの元は、今回のチョコレートに使用されたデコポン。鹿児島・山上農園の園長さんがデコポンを我が子のように愛でながら育てているということを知りました。それがドライフルーツになって、美味しいチョコレートでコーティングされて、遠く離れた東京にいる。大切に育ててきたものを自分の手元から手放すってどんな気持ちなんだろうと考えながら、私なりの視点で両親との関係性や、独り立ちした今思うことをエッセイにしました。
読んだ方が「日常の中に尊い瞬間がある」ことを感じてくださるような発信をするというのは、私の日々の表現の中の大きなテーマ。SNSもあり個性的であることに価値が置かれ、華やかなシーンに目が向きやすい時代ですが、本当に大事な景色は生活の中に潜んでいると思います。普通でも、周囲に馴染んでてもいい。それぞれの長い人生の今しかない大事な瞬間にスポットライトを当てたくなるような、そんなエッセイに今回もなっていると嬉しいです。
大切な誰かの顔を思い浮かべながらチョコレートを味わえる、とても素敵なエッセイでした。執筆はもちろん、アートワーク、モデル、起業まで幅広い活動をしているharu.さんですが、クリエーションの原点は?
思い当たるのは祖母です。祖母は昔、女性監督作品やアジア映画の自主上映の企画・運営をしていたこともあり、私が幼児の頃からジブリやチャップリンなど様々な映画を観せてくれました。小学生になってからは、私がお絵描き帳に映画の登場人物を描くと、夜の間に祖母が色をつけてくれるようになって。祖母が感性を活かした自由な着色をするので面白かったのを覚えています(笑)。
そんな遊びをしていたせいか、子供の頃から映画に出てくる人物の「キャラクター」を捉えたり分析することに強い興味を抱いていて、なぜこんな服を着ているのか、なぜこんな仕草をするのかなどをよく観察していました。今も『HIGH(er)magazine』の誌面で誰かを紹介するときや、HUGでアーティストをマネージメントするとき、「どう演出すればこの人の魅力が一番伝わるか」ということを考えるのがとても楽しい。きっと祖母のおかげだと思います。
最後に、haru.さんの今後の展望を教えてください。
『HIGH(er)magazine』の最新号に、今はこの世を旅立ってしまった友達と私の文章を再掲載したページがありました。彼の想いや記憶を持ったまま未来に進むためだったのですが、それを読んだひとりの学校の先生が、私に詩を贈ってくださって、それが今、自分にとってとても大切なものになっています。物理的に近い距離にはいなくても、そういった「想いの連鎖」による繋がりは、私にとって世界で安心できる場所。多くの人に届けることだけでなく、数は少なくても、自分は自分でいていいんだと感じられるようなものづくり、発信をしていく。それがやっていきたいことですね。
その発信は、決して自分発でなくても構いません。今年6月に設立した株式会社HUGは、「同世代の素晴らしいアーティストをもっと世に広げたい」という想いで立ち上げました。どの時代もそうだと思うのですが、私の周りの同世代の人たちはエネルギーがあって面白いことをしようとしている人がたくさんいます。特に今は生き方や価値観が拡張されているのが目に見えて分かる気がしていて。これまで大人が教えてくれなかったけど、知っておくべきことや話し合うべきことが多く存在すると思うので、それをいろいろな人と一緒に、いろいろな形で伝えていきたいです。
今回のチョコレートも、デコポンのジューシーな甘酸っぱさを引き立てるようにビターチョコが使われいて、とても深みのある味。大人になんかなりたくないけど、前に進まなければいけない全ての人に、ぜひ、私のエッセイと一緒に味わってもらえたらと思います。
『HIGH(er)magazine』編集長・haru.がエッセイ執筆の想いを語る
2019.11.11 MON
Interviewed haru.